はじめに
連日のようにニュースで報道されている強盗詐欺による犯罪。その特徴として、高齢者が狙われる事件が多発しています。報道において繰り返し取り上げられていますが、その手口は日々巧妙化しています。そして、その恐さの一番の要因ともいえるのが、家の中に侵入して起こるという点です。
前回の記事では、高齢のご家族を守るために家族で考えてゆくべき防犯対策についてお伝えいたしましたが、
参考記事▶高齢の親を守る強盗詐欺対策とは?家族でできる実践法
本記事では今日からすぐに実行できる防犯対策について深く掘り下げていきます。実際にあった強盗被害の実例をもとに、日常生活の中で未然に犯罪を防ぐための具体的な防犯対策を紹介いたします。
強盗詐欺から高齢の親を守る方法とは?
最近の強盗事件の傾向
最近の強盗事件の特徴として、住宅への強引な侵入が目立ちます。窓ガラスを割って侵入したり、玄関をこじ開けて家に入り込み、高齢者を脅してお金や貴重品を奪う手口が横行している状況です。
複数人のグループによる計画的な犯行も増えており、犯行後に逃走手段を確保しているケースもあります。事前に家の周りを偵察して情報を得たり、電話で資産状況を聞き取り調査をしておくなど用意周到なケースも報告されています。そして窓を割って高齢者宅に侵入し、現金を奪った事例、さらには被害者がでている事例もあります。
高齢の親が被害に遭わないためにすべきこと
まず第一に、強盗が侵入しにくい環境を作ることが重要です。窓や玄関周りに防犯カメラや強化ガラスを設置すること、外から見える場所に貴重品を置かないこと、そして防犯ブザーや警報装置を導入することが有効です。これらの対策を実際に行うことで、犯人は心理的に犯行を躊躇する可能性が高まります。
さらに、高齢者が一人暮らしの場合には近隣住民や地域との連携も重要です。定期的に連絡を取り合うことで、異変があればすぐに気付ける環境を作りましょう。
家族が意識すべきサポートポイント
子世代が高齢の親を守るためには、日常的なコミュニケーションが鍵となります。親が被害に遭わないよう、強盗事件のニュースや情報を共有し、防犯対策を共に考えることが重要です。
また、遠方で暮らしている場合など、日常的に顔を見れる距離でのサポートが難しい場合には、見守りサービスや緊急通報システムの導入も検討しましょう。自分の代わりに信頼できる体制を整えることで、親の安全を常に確認できることができます。
高齢の親と同居していても離れて暮らしていても、まずは今日できることから始めましょう。普段の生活を送る中で、事前に備えておく防犯、そして万一に備えて家族で事前に確認して、実際にシミュレーションしておくことが重要です。
今日から実践すべき家でできる防犯対策
家でできる防犯対策
強盗が家への侵入を考えるときに、窓や玄関などは強盗が最初に目を付ける場所です。つまり、この場所を対策しなくてはならないということです。
窓の防犯強化方法
- 防犯ガラスの導入
強化ガラスを導入したり、防犯フィルムを窓に貼ることで、簡単に割れない構造にする。防犯フィルムは通販やホームセンターでも手軽に購入できます。設置することで、ガラスが割れにくくなり、非常に時間がかかってしまうことから犯行におよびにくい環境をつくることにつながります。
- 補助錠の設置
ドアや窓に複数の補助錠を設置し、開けにくくする。ドアの下部に後付けすることができる補助錠は、ホームセンターで比較的安価で購入が可能です。設置は簡単でありながら、もともとの鍵が破壊された場合でも、補助錠の位置より先には物理的に開かない仕組みになっています。
玄関の防犯強化方法
- ドアチェーンやインターホンの利用
玄関ドアにドアチェーンを設置し、直接玄関を開けずに外の状況を確認できるようにする。後付け可能なインターホンを設置して、テレビカメラ映像を確認でき、録画機能も備わっているタイプが多いです。
強盗を寄せ付けないために家ですべき対策
強盗が狙う家の多くは、外から見て「狙いやすい」と判断される家です。特に夜間、家の外からは明かりがなく、防犯対策が甘い家が狙われやすいです。次のような対策を取りましょう。
- センサーライトの設置
人が近づくとセンサーが感知して点灯するライトを設置することで、見知らぬ人や犯人に対して感知や検知していますよというアラームを発する効果になります。
- 防犯ステッカーの活用:
防犯カメラが設置されていることや、安全パトロールの立ち寄り場所であることを表示するステッカーを玄関や窓に貼ることで、日常的に監視の目が行き届いている家屋であることを知らせる効果があります。
- 定期的な周囲の確認
郵便物がたまっていると家を留守にしていることが多い家、外出する機会が少ない家としてマークされやすいです。そのため、日に一度は郵便物を確認して郵便物がたまる状態を防ぎましょう。その際に、家の周りや付近にいつもとは違った状態がないか、異変がないかを定期的にチェックする習慣を持ちましょう。
郵便物入れが家の扉の外にある場合、近隣を確認する際には、必ず扉は施錠することをお忘れないように。ちょっとした隙に内部に入られてしまったり、内部に良からぬ工作をされないよう、くれぐれも施錠はしっかりとしてください。
防犯グッズを活用する
防犯グッズはホームセンターや通販などで手ごろな値段で購入できるものが増えています。いろいろな種類がありますが、そのなかでも防犯アラームや自動通報機能が搭載された装置は、毎日身近なところに配置、あるいは持ち歩けるタイプのものもありますし、即座に警察に連絡することができることができるタイプもあることから非常に心強い存在です。強力な懐中電灯や防犯ベルといった光や音のでるタイプも有効です。
まずはすぐに試せそうだと感じるアイテムから使い始めてみることをおすすめします。そして次に、異なる機能のものについても試し始めてみてください。
防犯グッズはひとつで万全なアイテムというのは難しく、そのため、どれかひとつだけを持つというのではなく、複数のアイテムで多角的に身の安全を守ることが大切だと痛感しています。その際、手軽に購入できて簡単に使用できるグッズは色々試してみるなかでご家族に合った防犯を見つけてゆける身近な存在ですし、日常的な安心感につながるアイテムです。
今日から実践すべき家の外での防犯対策
外出時の注意点
強盗被害は家の中だけでなく、外出する際にも注意すべき点があります。外出した際にマークされないよう、次の点について日常生活で習慣づけておきたいです。
- 大金を持ち歩かない
多額の現金を持ち歩くことは避け、必要最小限の金額だけを持つ。財布は鞄から見える位置に入れない。可能であれば現金は最小限にして、クレジットカードの併用も検討する。クレジットカードの申し込みにあたっては、事前に子世代のご家族とよく話し合って、保険対象・使用上限額・その他の設定を一緒に熟考してください。
- 周囲の状況を確認する
外出時は必ず施錠する。外出先では気のゆるみが危ないです。ちょっとでも変だな?と感じたら、人がいる場所(コンビニなどのお店等)に行き、不安な気持ちのままでの一人行動はやめましょう。見た目だけではなく行動が怪しいと感じる人物がいたら、すぐにご家族に報告してください。「きっと大丈夫」は全く大丈夫ではありません。「今まで大丈夫」であっても、今日は違うかもしれません。少しの過信がすぐ目の前の危険につながる危険性があるのです。
- 夜間の外出を避ける
できるだけ夜の外出はしないようにし、昼間の明るい時間帯に活動するようにしましょう。昼間の外出の際にできなかったことであっても、次の日にまわせることも多いはずです。夜の外出は年齢問わず気をつける点が増えてしまうのです。ご高齢者であればなおさら、と肝に銘じてください。
近隣との連携で安心感を作る
近隣の住民や地域の方々と日常のなかで関係を築いておくことは、犯罪防止に大いに役立ちます。特に一人暮らしの高齢者の場合、近所の方々との挨拶やちょっとした世間話から交流を深め、日常的にお互いの状況を確認し合える環境を作ることが大切です。そして、挨拶を交わすことに加えてお互いに声を掛け合うことが、強盗犯に対して「警戒されている」というメッセージを送ることになります。
緊急時に備えた準備
遭いたくない強盗被害ではありますが、実際に遭遇してしまうと、人は誰しも気持ちが動転してしまって身体がこわばってしまいます。そこで、万一の場合にも適切な対応を冷静に実行できるよう日常生活のなかで前もって準備しておくことが重要です。
挙げればきりがないのが正直なところですが、主だったところを例としてご紹介します。下記については、子世代のご家族と一緒に事前に確認して、シミュレーションしておいて頂きたい内容です。
- 緊急連絡先の確認:
家族や近隣の連絡先をすぐに確認できるようにしておく。携帯電話ご家族や緊急連絡先へすぐ連絡できるか、番号の登録をしたうえで、日々シミュレーションしておく。
- 警察に即時連絡できる環境の整備:
緊急ボタン等のアラームを設置している場合には毎日位置を確認して、押しやすい場所や位置かどうか、日々確認する。携帯電話で警察へすぐ通報できるか、番号の登録をしておき、日々シミュレーションしておく。
- 強盗に遭った際の行動:
侵入者と対峙した場合は、日々のシミュレーションを思い出しながら、冷静に対応しましょう。そして無理に抵抗せず、まずとにかく命を守ることを最優先とする。そして、いくつかのパターンを想定して、ご家族と一緒にパターン別に実際にシミュレーションしておきましょう。そうすることで、冷静ではいられない状況においても、事前にシミュレーションで覚え込んでいた身体が自然と安全な行動へと移せるのです。
まとめ
強盗被害の脅威は目の前に迫っており、特に高齢者世帯が狙われやすい状況が続いています。防犯対策を日常生活に取り入れることは、もはや大げさなことではなく、家族全員の安全を守るための第一歩です。
今回の記事では、強盗被害の実例をもとに、家の中で実行できる具体的な防犯策や、家族ができるサポート方法を含めて、今日からすぐ実行できる防犯対策についてお話いたしました。ぜひ、これらの対策を参考にして、安心した生活を送るための環境作りを行ってください。