はじめに
フィッシング詐欺とは、メールを通じて偽のウェブサイトに誘導し、個人情報や金融情報を盗み取る手口の詐欺のことです。
インターネットを使えている場合であっても、比較的インターネットに不慣れなシニア層がこの手の詐欺のターゲットにされやすく、実際に多くの被害が報告されています。
この記事では、高齢者を狙うフィッシング詐欺の代表的な手口と、メールの見分け方、そして家族でできる防止策をお伝えしてゆきます。メールやインターネットを安全に利用するために、これらの対策をしっかりと押さえて、実際に遭遇した際に対策を実行できるよう準備しておきましょう。
フィッシング詐欺の代表的な手口と見分け方
フィッシング詐欺の基本的な手口
フィッシング詐欺の主な手口は、どのようなものでしょうか。
多く報告されている事例では、詐欺側が銀行やオンラインショッピングサイトを装った偽のメールを送り、添付されているウェブサイトのリンクをクリックさせて偽のウェブサイトに誘導して、パスワードやクレジットカード情報を入力させるものです。
偽のメールは公式や詐欺ではないメールと見間違えてしまうくらい巧妙に作られており、騙されるリスクが高いといえます。
具体的な例としては、下記のようなケースがあります。
銀行やクレジットカード会社を装ったメールで「不正なログインが確認されました。すぐにパスワードを変更してください」といったメッセージが記載されています。そのメールに添付されている偽のウェブサイトをクリックするような文面で誘導して、故意に個人情報を入力させる、といったケースです。
フィッシングメールの見分け方
フィッシングメールを見分けるためには注意することが重要ですが、その見分けるポイントをご紹介いたします。
見分けるためのポイント
1.メールの送信者アドレスを確認する。公式アドレスと異なる場合は疑う。具体的には@マーク以降のアドレスが公式のドメインかどうかを確認する。
2.メール内のリンクをクリックする前に、マウスオーバーでリンク先のURLを確認する。確認できない場合は、公式サイトと判断できない場合は開かないこと。
3.不審な添付ファイルやリンクがある場合は絶対に開かないこと。すぐに削除する。
高齢者が注意すべきフィッシング詐欺のメール例
銀行や金融機関を装ったメール
銀行や金融機関を装ったフィッシングメールは、シニア世代にとって特に厄介かつ危険なメールです。危険な理由として、この手のメールには「口座が凍結される」「不正なログインが確認された」といったメッセージが記載されており、その文面で受け取った側の不安を煽ってリンクをクリックさせようとするものだからです。
具体例:銀行からのメールを装い、「口座が不正に使用されたため、至急パスワードを変更する必要があります」という内容で、偽サイトに誘導される。
偽のオンラインショッピングサイト
オンラインショッピングサイトを装ったフィッシングメールも多数、流通しているのが現状です。「購入確認」「配達ステータスの更新」などの件名で送られ、偽のサイトに誘導してメールを受信した側のクレジットカード情報を盗むケースがあります。
具体例:偽のAmazonからのメールで「最近の購入について確認してください」というリンクが添付されており、このリンクそのものが偽のサイトなのです。このリンクをクリックするよう誘導され、その先の偽のサイトでクレジットカードや銀行口座をはじめとする個人情報が盗み取られてしまう事例です。
フィッシング詐欺を防ぐための具体的な対策
メールやリンクを安易にクリックしない
フィッシング詐欺を防ぐための第一歩は、不審なメールやリンクを絶対にクリックしないことです。シニア世代のご家族に対して、メールを受け取ったらすぐに対応せず、必ず他の家族に確認するように事前に話してお願いしておくことが重要です。
そのうえで、知らない送信者や不審な内容のメールは家族に相談し、もしも公式のウェブサイトに連絡する必要がある際には、メール内のリンクを通じてではなく、検索して公式の連絡先にアクセスする。この検索してアクセスする際には、ご家族のかたが一緒に検索して公式のウェブサイトがどれなのか、について判断するサポートをしてみてください。
セキュリティソフトを導入する
セキュリティソフトは、フィッシングサイトへのアクセスを自動的にブロックする機能があるため、シニア世代が安心してインターネットを使ってもらうためには、導入することを強く推奨します。
そして、フィッシング詐欺対策機能が搭載されたセキュリティソフトをインストールしたうえで、常に最新の状態に更新しておくことも大切です。
メールサービスのフィルターを活用する
多くのメールサービスには、迷惑メールを自動でフィルタリングする機能があります。これを有効にしておくことで、フィッシングメールが届く可能性を減らすことができます。
迷惑メールの設定方法
- メールサービスの「迷惑メールフィルター」を有効にする。
- 不審なメールを手動で「迷惑メール」としてマークし、以降届かないように設定する。
家族でできるフィッシング詐欺の防止策
メールの見分け方を一緒に確認する
家族がシニア世代のご家族と一緒にメールを確認して、フィッシング詐欺の兆候がないかをチェックする習慣をつけておくことで、未然に防ぐことができますよ。そして、日常的にコミュニケーションを取り、怪しいメールが届いた場合にはすぐに対応できる体制を作りましょう。
メールの安全な利用方法を一緒に学ぶ
シニア世代がフィッシング詐欺から回避できるようにするためには、メールの安全な使い方を一緒に知って学ぶ機会をつくることが大切ですし、一番効果的です。特に、リンクをクリックする前に慎重に確認する習慣を一緒に見て覚えてもらえるようにしましょう。
- リンクをクリックする前に家族に確認する、または公式サイトに直接アクセスするなど、安全なメールの使い方を家族で一緒に使いながら覚える機会をつくる。
まとめ
フィッシング詐欺はシニア世代にとって厄介かつ大きなリスクですが、ご家族で協力して正しいメールの見分け方や安全な使い方を教えることで、防ぐことはじゅうぶんに可能です。特に、セキュリティソフトの導入やメールフィルターの活用など、技術的な対策を取り入れることで、さらに安全性を高めることができます。
家族で定期的にメールのチェックや設定の確認を行って、安心してインターネットを使える環境を整えてゆきましょう。